先駆け過ぎたYoutuber
今日偶然にも職場の方と帰り道が一緒になり、面白い話を聞けたので少々書きたいと思います。
その方は、(少し話をぼかしますが)今から約10年くらい前に、Youtubeを使って楽器を弾く動画を制作したり、それをきっかけにオンラインでの教室を開催して、今でいうサブスクリプション的な収入を得ていたそうです。
当時は、Youtube自体もそれほど流行しているわけではなかったらしく、またオンラインで何かを教えるという形態もほとんどなかったそうです。今では色々な環境を使ってオンライン講習的なものができますが、当時はSkypeでやってました、というようなことも教えてくれました。
最終的に話は「それって2021年の今ではすでに皆やり始めたことだし、今だったらがっつり儲かってたかもしれませんねー」ということで笑って終わったのですが、ビジネスでも投資でも、何かを始めるタイミングが非常に大事ですよね。
もちろんこの職場の方は、当時においてはそのビジネスに時間とお金を使うことが最適であると考えて始められているわけですが、結果的には「少々早すぎた」ということになってしまったようです。
投資タイミングで利益を出すということ
この話は、株式投資をはじめとする資産運用、投資でも同じことが言えると思います。
当然ながら市場は常に変動しているので、自分の投資リターンを大きくしたいと考えた場合、できる限り最高のタイミングで投資したいと考えるのは自然なことです。
参考になるかわかりませんが、ちょっとした表を作ってみました。
これは「TOPIX」と「日経平均」および「JASDAQ」の3つの指数を収益率に直したうえで、それぞれの指数を投資してから12ヶ月後に売却するというケースでの、各期間ごとのリターンを表示したものです。
(データの期間は2018年1月~2021年7月までの32ヶ月間の月次収益率データです)
購入月 | 売却月 | TOPIX | 日経平均 | JASDAQ |
2018年1月 | 2018年12月 | -18.7% | -13.3% | -27.2% |
2018年2月 | 2019年1月 | -11.4% | -5.9% | -20.4% |
2018年3月 | 2019年2月 | -6.3% | -0.3% | -14.1% |
2018年4月 | 2019年3月 | -10.4% | -5.6% | -11.9% |
2018年5月 | 2019年4月 | -7.4% | 0.3% | -12.6% |
2018年6月 | 2019年5月 | -12.6% | -7.6% | -15.2% |
2018年7月 | 2019年6月 | -11.5% | -5.7% | -11.9% |
2018年8月 | 2019年7月 | -9.8% | -5.9% | -9.7% |
2018年9月 | 2019年8月 | -16.8% | -14.2% | -12.6% |
2018年10月 | 2019年9月 | -3.5% | -0.8% | -0.9% |
2018年11月 | 2019年10月 | 0.0% | 2.6% | 2.0% |
2018年12月 | 2019年11月 | 13.7% | 16.4% | 22.7% |
2019年1月 | 2019年12月 | 9.8% | 13.9% | 20.0% |
2019年2月 | 2020年1月 | 4.8% | 8.5% | 11.3% |
2019年3月 | 2020年2月 | -5.1% | -0.3% | -5.3% |
2019年4月 | 2020年3月 | -13.3% | -15.0% | -13.3% |
2019年5月 | 2020年4月 | -3.2% | -2.0% | 0.1% |
2019年6月 | 2020年5月 | 0.8% | 2.8% | 8.9% |
2019年7月 | 2020年6月 | -0.4% | 3.6% | 7.5% |
2019年8月 | 2020年7月 | -1.0% | 4.9% | 8.8% |
2019年9月 | 2020年8月 | 1.9% | 6.4% | 8.3% |
2019年10月 | 2020年9月 | -2.5% | 1.1% | 7.8% |
2019年11月 | 2020年10月 | -7.1% | -1.4% | 1.1% |
2019年12月 | 2020年11月 | 1.9% | 11.7% | 2.2% |
2020年1月 | 2020年12月 | 7.1% | 18.3% | 7.4% |
2020年2月 | 2021年1月 | 19.7% | 30.8% | 25.1% |
2020年3月 | 2021年2月 | 32.9% | 53.1% | 38.3% |
2020年4月 | 2021年3月 | 33.5% | 44.5% | 30.1% |
2020年5月 | 2021年4月 | 21.4% | 31.7% | 15.3% |
2020年6月 | 2021年5月 | 23.4% | 29.5% | 12.2% |
2020年7月 | 2021年6月 | 29.9% | 32.6% | 18.0% |
2020年8月 | 2021年7月 | 17.5% | 17.9% | 11.3% |
こうしてみると2018年から2021年にかけては後ろにいくほど株価が好調だったようですが、TOPIXの例で言いますと、2018年の初めの方で投資を開始し、12ヶ月保有するパターンでは、リターンがマイナスになったケースが多く、逆に2020年の初め以降で投資を開始したケースだと、どの月でもプラスのリターンを得られたことがわかります。
なお、この期間でのTOPIXに対するベストな投資タイミングはどこだったかといえば、2020年の4月に買って、2021年の3月に売却した「+33.5%」でした。
ワースト・ケースは、2018年1月に買って、2018年12月に売ったケース(-18.7%)となっています。
こうしてみても、どのタイミングで買うかによって大きな差があることが良くわかるのですが、これは現時点から振り返ってわかることであって、投資を始める段階では、前述の私の職場の方のように、儲かるかどうかはやってみないとわからない、ということになってしまうのが通常です。
投資タイミングが事前にわからないとしたら、どのようにすべきか?
事前にベストな投資タイミングがわからないとしたら、我々はどのように投資をするべきでしょうか。
私は次のように考えます。
- とりあえず現時点が最高の投資タイミングであると考えて、期待リターンの高い投資対象に全額投資をする
- 投資した対象の価格が投資をしたときよりも下がっていた場合、余力があれば追加投資をする
リターンが高くなる投資タイミングを事前に知ることはできないという前提で、自らリサーチをして過去データ等から最も期待値が高いと判断できた対象に、その時点で投資できる全額を投資します。
その上で、投資した後に当該投資対象の価格が下がってしまった場合で、かつその時点で投資余力があるのであれば、買い増し(ナンピン買い)をします。
投資をする前からナンピン買いを想定することは、期待値の高い投資対象に投資をするということと、やや矛盾してしまう感じもしますが、あくまでこれは下がってしまった場合の対応を事前に決めておく、ということです。投資をする時点では当然、投資時点よりも価格が上がることを期待して投資するわけですので。
ファイナンスの研究においても、投資タイミングでリターンをあげ続けるのは難しいという内容の論文があったかと思います。この辺りもまた調べてみて追記できればと思います。
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